MBAに留学していたのは、もう8年ほど前になる。
MBAの入学条件のIELTS 7.0をクリアし、またそれ以前にTOEICも900点台を取っていたが、MBAに留学して自分の英語が箸にも棒にもかからないことを知る。

(留学した)MBAホルダーは英語を話せないとならないが、現在は?
MBAを終えてから、知人の投資に乗っかる形によりフランスにビザを取得して数年住む機会を得た。
現在は現地パートナーに運営を任して帰国している。
フランスそのものは英語が一般的に話されている国ではない(観光に行っただけだと英語を話せるホテルマンや店員が多いが、住み始めると英語が話せない人が多いことに気づく)。
しかし仕事をする上では英語を話せる人とのやり取りが多かったため、フランス在住時はほぼ毎日英語を話していた(同時にフランス語を学校で学んでもいた)。
英語が話せるフランス人の英語というのは、フランス語が元になっている語彙が多用されていて、それらは英語としては小難しいため、実はアメリカ人や英国人の英語より厄介なところがある。
またフランス語を学んだことにより、IELTSなどで難しいなどと思いながら覚えた英単語が身近に感じられたため、英国にいたMBA時代よりもある意味英語力は向上したようだ。(このあたりは後日書いてみたい)
何年かぶりに英国人やアフリカのクラスメートと話すと「あなたの英語が当時より上達している」と言われることが多い。
とはいえ、そのフランスからも帰国し、もちろんメールなどでのやり取りは毎日のようにあるものの、英語を使う機会はめっきり減った。
そうなるとどんどん英語が出てこなくなるのを感じる。
実は語学学習には終わりがない。キープするためには一生続けなければならない。
杉田敏先生のNHK「やさしいビジネス英語」を再学習中
現在は「実践ビジネス英語」となっているようだが、自分が大学生の頃にテキストを買って、ラジオ口座をMD(なつかしすぎるだろ…)に録音して聴いていた頃は、「やさしいビジネス英語」という名称だった。
しかし言い回しなどこなれていて、少しも「やさしい」感じではない。
これはどういうことかというと、「この講座を勉強していれば、ビジネス英語などやさしいもんですよ」という意味だということだった…
ちなみに自分がやっているのは荒木裕美(ヒロミ、男性である)シリーズで
なぜこんな古いものを、といえば、単に昔の荷物から97年12月号から98年1〜3月ののテキストが4ヶ月分出てきたからである。
今は98年1月号をやっている。
録音していたMDの方は紛失しているし、あっても再生機はMBAに出る前に実家に送った荷物の中に入っているだろうかというところで、音声はない。
よってテキストを音読しているだけである。
もちろん音声があればいいが、なくてもとりあえず問題はない。
大学生の時はリスニングの練習とし、また録音した音声を何度も再生してできるだけ真似しようと頑張っていたこともあったが、就活などの忙しさにかまけ、おそらくやりこんだのはほんの一部だろうと思う。
話の内容は中国に出張して中国市場に参入する際の心構えだとか、老後に向けた蓄えの話だとかで、20世紀終盤の中国への見方とか、老後への展望や価値観だとか、
「ああ、当時はこうだったな」
と隔世の感もあり、面白い。
ただ、自分の場合は昔のテキストが出てきたので感慨深くやっているが、普通なら現在の感覚の方が面白いので、現行のテキストをお勧めする。
現在はKindleでも出てるので、手持ちのスマホやタブレットでも読めるし、ラジオ放送を聞く暇はなくてもAudibleで買える。
今、Audible聴き放題の体験で無料でダウンロードできるので(これは解除後もファイルは残るようである)、自分も昔のテキストをやりこんだら、kindle+audibleで今の放送を一月分やろうと思っている。
上級のレベルに達して初めてわかる杉田敏氏のシリーズ
2000年過ぎてからも、何度か杉田敏氏のラジオ講座は何度かテキストを買ってやっていた記憶がある。
TOEIC800点を超え、一応それが応募条件となっていた職に転職して仕事で英語を時々使うことになってからも、1回か2回はテキストを買ってやっていたと思う。
しかし徐々に
という疑問が生まれていた。
単語などはそう難しいものばかりでもないが、言い回しや表現などがTOEICなどには出てこないものばかりである。
例えば、hit the ground runningという表現が出てくる。これは「すぐに全力で(業務に)着手する」という意味だが、当時はこんな表現キリがないと感じていた。
仕事でたまに英語で会話することがあっても、とても必要とは思えない。
そして入門ビジネス英語という番組ができて、見てみると、そちらの方がよほど使えそうな内容だと感じた。
確かこちらの方を800点台後半になってからも、何回かテキストを買い、放送を録音したりして聴いて音読などをやっていたと思う。
それはTOEIC900点の壁を超えるにしても役立ったと思う。
しかし、そこからIELTS、MBAへの留学、その後英語をメインの言語として仕事をする日々、を経て、改めて杉田敏氏のテキストをやってみると
と思うようになった。
というのも、自分はMBA留学前も既に
Your English is perfect
とアメリカ人の知人にお世辞で言ってもらえる程度にはなっていた。TOEICで900点台を普通に取れるようになり、少しガリ勉してIELTS7.0を取れるくらいになった頃である。
しかし、それから8年以上経て、当時よりずっと当たり前に英語を話せるようになった現在も
をひしひしと感じている。
そして今はアメリカ人もイギリス人も自分の英語を褒めてなどくれない。
なぜか?
相手がこちらに期待する英語のレベルが違うからである。
向こうはもう手加減なしで話せる相手だと思ってネイティブの相手と同じようなノリで話してくるが、時々ついていけずに聞きかえしたり、確認してしまう。
そんな時に、相手は「おお、わからないのか」という表情をチラリと見せる。
思えば、昔はそんなに複雑な話ができると期待されていなかったのだろうと思う。

これは昔は理解していなかったことだった。
そういえば、おそらくこの講座で覚えたのではないかと思うが、MBAに留学する前にアメリカ人の知人にout of the blue(突然、とか出し抜けに、とかいう意味)という表現を使ったことがあった。
彼は自分がそう言ったあとに”out of the blue”と少し笑いながら言い、”definitely”と言った。話の内容は覚えていないが、その時自分は
ああ、自分が”out of the blue”という表現を使ったのが少し意外で面白いんだな
と感じたのを覚えている。
おそらく、それは自分が話す定型的な英語からして、そこだけこなれた表現が出てくるのが意外でとってつけたように聴こえたのだと思う。まさにそれ自体がout of the blueだったのだろう、とちょっと恥ずかしくも思い出す。
しかし今、そのことを思いながら時々使っても、ネイティブに突っ込まれることはなくなった。つまり、今の自分が言っても違和感がないということだと解釈している。
上級になると実感することだが、おそらく死ぬまで勉強は続けなければならないのである。
また、海外ドラマや映画を見ていると、実は大人のネイティブならば日常的に使うレベルで、字幕なしで理解しようと思うなら必須である。
音読50回を目指す
とりあえず、今取り組んでいることは、ビニュエットに出てくる語彙や言い回しを自分の中に定着させることである。
聴いたり読んだりなら理解できる、というのではテストでは点を取れても、実際の会話の中では不十分だからである。
“hit the ground running”とネイティブが言って理解できるだけではなく、自分の口から普通にするっと言えるようになりたいのだ。
そういうわけで、音読50回を目指しているのだが、順番に50回ずつやるのではなく、
まず3回読んだら翌日分に移り、また翌日2回目の3回音読をやり、1週分やったらまたやっていき…
という感じで毎日やっている。
20回ほどやったビニュエットからは2週間ほど遠のき、また戻り、という感じで付箋を貼って「正」の字で回数を記録している。
このあたりは自分の感覚で進めていくといいと思うが、1日に同じビニュエットを3回読むのは、大体2回集中して音読すると3回目は少し目を離しながら口をついて出てくるからである。
しかし集中力を長時間持たせるのも40代には厳しいし、ただ惰性で音読していると何か他のことを考えながら読んでいるような瞬間もあり、効率的じゃないと考えた。
このあたりは自分でやりながら決めていくといいと思う。
とりあえず全てのビニュエットを20回読んだら翌月のテキストに移って新しくインプットしつつも同時に前月のテキストに戻って21〜23回目の音読をする、というような感じでやっていて、まだどのビニュエットも50回には達していない。
とりあえず手持ちの昔の4ヶ月分のテキストを50回音読した暁には、現行の番組を早く聴きたいと思っている。
しかし杉田敏先生が未だに現役なのは喜ばしいし、ビニュエットを書くにも常に最新の話題をアップデートされてるのだろうと思うと頭が下がる。
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