数週間の語学研修にお子さんを送り出そうとしている英語が話せない親御さんへ

先月、中学生のお子さんがいる元同僚が、お子さんをアメリカ西海岸へ3週間のホームステイ(語学学校での授業つき)に送り出したという話をしてくれた。

費用は航空券、語学学校の学費、滞在費、お小遣いなどを含めると50万円を超えたという。

「これで全然英語喋れないまま帰ってこられたらかなわんな」

と語る元同僚の手前、本音は言えなかったが、もちろん普通の中学生が3週間の語学研修に行って、その帰国する日までに「英語が喋れる」状態になることはない。

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数週間のホームステイや語学研修に即効性があるお子さんとは?

もし3週間の語学研修が効果があるとすれば、それは既に中学生としてかなり上級の英語レベルにある場合で、例えば英検2級は中学2年までに取っているくらいの取り組みがあり、3週間集中して英語を話す期間を設けてブラッシュアップしたい、というような場合だけであろうと思う。

例えば、親御さんが幼児英語教育に熱心で、週に1回通わせて満足することなく、毎日英語のインプットをさせるような教育を続けているとか、

本人が非常に熱心で毎日NHKのラジオ基礎英語を続けて、さらにセンスがあるので発音も良く吸収して一般の中学生とは一線を画した英語力を持っているとか、

そういう風に、「既にかなりできている状態」じゃないと、いきなりアメリカに行ったからといって吸収態勢になれるわけではないし、アウトプットの機会としても活用しきれないだろうと思う。

これは普通に想像すればわかる話だ。

彼は優秀なビジネスマンではあるが、英語は話せない人なので、そこの想像力は至ってないようだ。

若いなら、子供なら吸収力がある、と安易に考えている人がいるが、考えてみて欲しいが、赤ん坊に3週間話しかけて日本語ペラペラになっただろうか?よく「英語なんてアメリカに行けば赤ん坊も話している」などという人がいるが、実際にアメリカの赤ん坊が話しているのは喃語であって、英語ではない…

3歳の子供の日本語だって、かなり限定的なもので3歳の思考力の範囲で話されているだけだが、そこに到るまでに親など周囲の人が根気よく話しかけ続け、子供の方も自分の年齢にあった簡単な日本語のフレーズが繰り返し使われている幼児番組を見て、保育士や幼稚園教諭の監督のもと、同じ月齢の子供たちと交わって、そんな日々をずっと続けて、やっとあの程度話せている、のである。

ホームステイでも、子供とはいえ中学生以上の子に向かって根気よく話しかけることはないし、なんとか意思の疎通がはかれるかどうかがせいぜいである。

とはいえ、行かせても無駄、というわけではない。

これは、その費用を無理なく出せるご家庭なら、という前提なのだが、3週間の研修に出してお子さんの英語力が目に見えて向上しないから「行かせても無駄」というのは早計だと思う。

早いうちに「英語が本当に話されている世界」を経験し、学校で習った表現を「ええと、ええと」と思い出しながらでも使って、少しでも通じる経験をすれば、その後の英語の勉強に現実味が出ることだろうと思う。

また逆に、短期で海外に行っても、ただ過ごすだけでは英語が向上するわけではないし、店のやりとりなどで自分の英語力のなさで不自由な思いをする、そういうことを中学生や高校生のうちに経験するのは非常に貴重なことだと思う。

同じ経験でも年齢によって、人生への影響度合いは異なる。自分も大学生になってから語学研修を経験したが、本当なら中高時代に経験していれば、早いうちから英語に対する取り組みが違ったかもしれない…などと感じている。

数週間の語学研修そのものに英語力の飛躍的な向上を期待するのは間違いだが、そもそも言語というのは日々継続していかなければならないものである。

英語の勉強へのモチベーションとして、刺激という意味ではお子さんが本当に英語に興味があるなら有効だと思う。

そして帰国後は
オンライン英会話
をしたりなど、アウトプットの機会を日常的に持たせるようにすると、日本にいながらでも英会話力は高まっていくし、もし2回目の海外研修の機会があれば、更なる刺激になり、アウトプットの良い機会になるだろうと思う。


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