堀江貴文氏がYoutubeで「留学は不要(時代遅れ)」と言ったのが物議を醸していたので見てみた。
本人がどこまで本当にそう考えているのかは定かではないが(物議を醸す発言をするのは彼のビジネス手法の一つである)、とりあえずこれについての自分の感想としては
ということである。
ちなみに自分自身は、
とも言えるので、そういう観点からも語ってみたいと思う。
事実、英語を“ある程度”話せるようになるだけなら留学なしで可能
これは今までも何回か書いてきたことだが
現代は自宅にいながらにして、驚くほどの低コストで留学しているのと同じくらい英語漬けの環境にすることは可能である。
実際、自分も2006年とか2007年ごろだと思うが、Webカメラとマイクを買い込み、Windows XP環境でオンライン英会話を始めた。
徐々にSkypeを使ったマンツーマンレッスン、フィリピン人講師による激安なサービスが出始め、自分は大学生の頃に3週間ほどニューヨークの語学学校に通ったことがあるが、
と思ったものである。
もちろん「さあ話しなさい」という機会があったからといって、たちまち話せるわけはなく、インプットというものも必要なのだが、それもBBCやCNN、そして海外ドラマなどを見放題見れば、なまじ留学してテレビのない部屋でついつい日本語でネットをする生活よりも英語漬けになることはできる。
よく、あまり国外に出たことがない人が
と言うことがあるが、これはたとえ数週間の語学研修ででも出てみれば「ありえない」とわかることである。
日本でも日本人の幼児が日本語を話しているのは、赤ん坊の時から絶えず赤ちゃんに相応しい言葉で親やその他の大人が話しかけ続け、年齢に合わせた幼児番組をみたり、絵本を読んでもらったり、幼稚園で年齢に合わせた言葉で教えられたりした結果である。
しかも、その言語は幼児のレベルに過ぎず、大人が到達しても「話せる」と思えるレベルではない。
ここになぜか気づいてない人が多い。
だから、英語圏に住むことで自然に英語が話せるようになることはありえない。住んだところで授業を受けたり、勉強するから英語力がつくのである。
そしてそれは現代は日本にいても可能だということは事実ではある。
だから自分も大学生の時に3週間語学研修に行ったことを除けば、留学なしでMBA入学条件をクリアする程度に英語を身につけることができた。
とはいえ、留学というのは未経験者には想像もつかないくらいの経験値になる
ただし、だからネットさえあれば留学する必要はない、というのは極論に過ぎるだろうと思う。
まず、英語の面から言っても、英語を話すと言うのは、単に文法や語彙や発音が合っていれば話せるというわけではなく、
ということであり、これははっきり言って日本にいながらにしてというのは難しいと思う。
これは日本から出たことがない、日本語でしか話さない人には理解されにくいことだと思うのだが、
普段日本語で話している感覚で、ただそれを英語に置き換えていては会話が成立しないのだ。
たとえば、日本人は相槌を打ち過ぎる。
自分も国内でいろいろ自分で勉強した結果、「英語圏で暮らすのが初めてなの?若い頃から暮らした経験があるように聴こえる」「他の日本人学生より発音がいい」などと言われるくらいの英語力は身に付けることができた。
しかし、最初の想定していたような会話が終わり、アドリブで話すような段階になると
という状況が何ヶ月も続いた。日本語で話す際の「うんうん」とか「ええ、ええ、」とかがンーフー、アーハーに変わっただけである。
英語を話すマインドというのは、「順番に話す、まず聴くのが礼儀」というようなものではない。
そんな礼儀を守っていてはしてやられるだけなのだが、日本語のマインドのまま英語で話してしまうのである。
そうなってくると、いつの間にか力関係が出てくる。
よく、「英語なんて、ただのツール。実力があれば完璧に話せなくても大丈夫」などと言われるが、確かに理系の専門分野などではそういうところもあるかもしれないがMBAのような世界では
はっきり言って、後からグループの中で各人が言っていたことを整理すると、イギリス人クラスメートの分析なんて大したことがなかった、それなのにいつの間にかこっちは部下のような扱いになっている…
ということも多いのだ。
そして徐々に、ネイティブやインド人、そこに中国人なども加えてワーワー言ってるところに、自分も強く入っていったり、遮ったり、何より
ことを覚えていく。
これは決して、英語を教えたり英会話の相手になることが仕事であるオンライン英会話講師とでは身につかないことだし、たとえ日本語に興味があるので互いに話しましょう、というようなLanguage Exchangeの相手とでも難しいと思う。
自分も時折Skypeで話したが、そういう人たちは特異であり、日本の文化や日本人に特別な興味を抱いている。
そして異文化の礼節などをリスペクトする発想があるので、きちんと話す順番を守ったり、察しようとしたりする。
堀江氏が動画の中で、そういう人たちと仲良くなって友達になればいいと言っているが、もちろんそれは良いことではあるが、残念ながらインターネットで英語がイマイチな日本人と仲良くなろうという人は非常に珍しいタイプであり、
これは経験してみないとわからないことであろうと思う。
日本にいる外国人や、ネットで日本人と継続的に会話しようというような奇特な人と話しているだけでは決してわからない世界があるのである。
また、そうした直接的な英語面の話だけではなく、日本にいては気づかないことも大いにわかるようになる。
自分が留学する前の2000年代、日本には中国人観光客が増え、徐々に中国の経済発展を感じてはいたのだが、やはり心のどこかで「一人当たりGDPを見ても、まだまだ中国の水準が日本に追いつくことはない」という意識があった。
しかしMBAだけではなく、そこの大学のマスターに留学している中国人の怒涛の勢いや金銭感覚などが
を思わせるもので、節約して細々とやっている日本人留学生に比べて非常に裕福なのを目の当たりにした思いだった。
当初は「富裕層の子供達だろう…」と考えるところもあったのだが、
結局のところ、中国の中には日本の経済水準を超えてしまった世界と、農村部と、次元の異なる2世界があるのであって、前者に至っては「中国の一部の富裕な層」などではなく、日本の人口以上を占める新世界なので、中国の一人当たりのGDPなどでまだ勝っているなどと思っていてはどうしようもないのである。
中国に行けばもっと実感するところだと思うが、英国にいるだけで一気に現実を見せられた思いだった。
中国人留学生の経済的余裕を見るばかりではなく、それを囲む英国人やその他の人々の意識を見ても、日本の経済大国としての存在感が薄くなっているのを感じたからである。
そうして帰国すると、
と感じるようになった。何のことはない、留学前の自分もそうだったのだが。
2020年の現在は、さすがに認識も変わってきているように感じるが、7〜8年ほど前は、まだ実感していない日本人の方が多かったと思う。
他にも、たとえ学生ビザでも外国に住むための手続きを踏んだり、英国でNHS(国民健康保険)に登録して現地の医療制度を知ると、
という気づきもあった。
日本にいると、国保などがあるのは珍しいので日本人は恵まれている、と感じていたような気がする。
しかし英国の診察や検査、手術などが基本的に無料であり、英国人もそれを非常に誇りに思っているのを経験して、改めて調べてみると、無料というのは英国や北欧など限られているものの
ことがわかった。
こうしたことも、もちろん日本にいても知り得ることではあるが、自分の場合は実際に自分が英国のNHSを利用する経験がなければ気づかなかった可能性が高いように思う。
これは一例なのだが、このようにして日本に対する見方や考えもかなり変化した。
知らぬが仏、という言葉もあるが、
自分は留学して非常に良かったと思うし、むしろやはり若い頃から留学したかった、と感じている。
ちなみに、英語力の話に戻ると、「英語が話せる」というのには段階があって
結局自意識の話にもなってくるのだが、割と自分は英語が話せる、と思う段階があって、そこを超えると自分がどんなに話せないか自覚する段階になると思ってる。
実は昔、堀江氏はおそらくレアジョブ英会話だったと思うのだが、宣伝企画のようなものでSkypeを使ってレッスンを受けるということを動画で公開されていたのを見たことがある。
自分自身はその時既にオンライン英会話は色々やっていたのだが、レアジョブが更に安い価格帯で進出していた頃で、気になって開いたら堀江氏のレッスン風景と、その後の感想インタビューが出てきたという感じだ。
その印象は、確か受けた講師が可愛いと気に入っていて、フィリピンパブのノリか?というのと
という感じだった。
感想インタビューで、「ま、僕の英語力はこんなものですよ」と字面にすると謙遜してるかのようだが、「結構喋れるだろ?」と相手から褒められるのを待っている感じが出ていた。
自分は
でも書いたのだが、他人の英語力を笑ったりバカにするということは基本的にしたくない。
というのは自分ももっと上級者から見れば大した英語力を持っていないからである。
そして堀江氏のように臆することなく自信を持つのも非常にいいことであると思う。
ただ、最近のゴーン氏とのインタビューを見ると、あの時と同じ程度に思えるのだが、
これでいうと、レベル3〜4程度かなと思う。彼がゴーン氏とのインタビューに備えて、ある程度言いたいことを準備してきて、それは言えているのだが、予想していない展開の会話には無理で、子供のようになってしまう、という感じである。
おそらくそこの実感を得るのも、国内にいては難しいなと感じるところだ。
ちなみに
で書いたが、Your English is perfectとか褒められているうちは全くダメである。
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